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研究概要

研究概要

本領域の目的

コミュニケーションにおいては、複数の個体が相互作用することで意味が生成されたり役割分担が発生したりといった日常的な創造活動が見られる。本領域ではコミュニケーションを成立させている脳内神経機構を複雑系数理科学と実験神経科学の協働によって解明し、コミュニケーション神経情報学という新領域を開拓することを目的とする。

本領域の内容

上記の目的を達成するために、「数理システム論」、「ヘテロ脳内システム間相互作用」、「個体間相互作用」の3研究項目を立て、それらの間の共同研究を通して研究を推進する。「数理システム論」では、引き込みやカオス的遍歴を軸に拡張した力学系、離散と連続の変数を同時に扱うハイブリッド系、ランダムな力学系、進化系などの研究を通じて、コミュニケーションの脳内ダイナミクスを記述する理論を構築する。「ヘテロ脳内システム間相互作用」では、人などの主体がコミュニケーションを行うときの脳内の活動状態を様々な計測技術を駆使して測定し、引き込み協調や脱引き込み、ダイナミックな記憶過程の役割を研究する。「個体間相互作用」では、人と人、人とサル、人とロボット、人と物体が相互作用するさまを行動学的に観察し脳計測を行うことでコミュニケーションを支える脳活動の論理を研究する。

期待される成果

本領域の研究が推進されるならば、コミュニケーションの本質的理解が得られることによる次のような波及効果が期待される。1.コミュニケーション障害の理解と介入へのバックグラウンドが与えられる。2.教育現象の本質的理解へと迫ることが可能になる。3.コミュニケーションロボットの開発が促進される。4.社会におけるイノベーション、すなわち組織的知識創造に関する理論の出発点が得られる。