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研究組織

B01 ヘテロ脳内システム間相互作用(脳システム班)

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B01 ヘテロ脳内システム間相互作用(脳システム班)

研究項目B01では、トップダウン情報システム、ダイナミックな記憶システム、ミラーニューロンシステムなどに着目しコミュニケーションの脳神経ダイナミクスを抽出し、モデル化する。

G1班

研究課題名
脳神経回路の同期の生成崩壊に基づく認知情報生成機構の解明
研究の目的
神経細胞、局所回路、領野間の大域的結合などそれぞれが様々なスケールで固有の時間空間的な構造を持ち、それぞれのレベルでの非線形ダイナミクスを持ち相互に同期非同期することが知られている。ヘテロで複雑なシステムにこのような動的回路が自己組織的に形成されることが脳の柔軟な情報創成を可能としていると考えられるがその複雑性ゆえに動的システム原理からの脳の計算論解明は進んでいない。本研究では認知課題に関わると考えられる広汎な脳部位の領野間および局所回路を取り入れた多重レベルでの脳のモデル記述の基本構造を構築し、脳波、fMRIなどの実験データより領野間の結合や脳リズム特性を回路のパラメータとして設定する。大域的回路の拘束を含めた計算論モデルとして解析することで広く文脈に依存した認知課題の計算論を解明する汎用性の高いモデルを作成する。またヒト脳波実験では、これまでに外部刺激を用いることでリズムの同期に変動を与えて、その認知思考機能における因果性を解析する。実験と理論が相互に利用できるデータベースと計算論モデルをプラットフォーム上に構築することによって、領域内での共同研究をも推進する。さらにコミュニケーション課題では知覚環境を社会環境に置き換えることで、計算論モデルが有効に作動することを検証する。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 山口陽子 (独)理化学研究所 計算論的神経科学 計画全般と理論研究の実施
研究分担者 北城圭一 (独)理化学研究所 認知神経科学 実験的検証研究の実施
研究分担者 川崎真弘 (独)理化学研究所 認知神経科学 脳波測定による作業記憶のリズム解析

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G2班

研究課題名
異なる入力情報の相互作用による自己組織化メカニズムの解明
研究の目的
脳は外界のモデルを個体の目的に合わせて脳内に再構成し、しかもその状態を操作することができる。この操作が新しい知識を生み出す情報創成の根源である。このような脳内モデルの形成には外界からのボトムアップの情報だけでなく、トップダウンの情報も融合する必要がある。従来の研究によってボトムアップ情報のみに依存した外界モデルの形成メカニズムは実験的にも理論的にもかなり明らかになってきているが、情報創成の視点から見たトップダウン機能を実現するメカニズムに関する研究はほとんどない。ここではまずトップダウンの作用として、報酬・罰の程度(情動的情報)に応じた感覚情報(ボトムアップ情報)統合への修飾に注目し、個体の目的に合わせた脳内モデルの自己組織化を可能にするメカニズムを探る。またそうした情動的情報は、個体間のコミュニケーションで重要な情報と直結しており、脳内モデルの自己組織化に与えるコミュニケーションの影響として捉えることができる。ボトムアップとトップダウンというヘテロな系の相互作用ダイナミクスを実験と理論の両側面から明らかにすることで、コミュニケーションの脳内神経機構を探る糸口としていく。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 相原 威 玉川大学 神経科学 統括と光計測実験
研究分担者 酒井 裕 玉川大学 神経数理 理論解析とモデル
藤井 聡 山形大学 神経生理 電気生理実験

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G3班

研究課題名
過去の経験と現在の状況から展望的記憶を動的に形成する記憶メカニズムの解明
研究の目的
本研究では、人間が過去の経験から将来の行動を計画・記憶し、現在の状況に即してこれを動的に更新、適切に想起・遂行する展望的記憶のための認知脳メカニズムについて、複数認知プロセス間の相互連携ならびに脳内の複数神経システム間の動的機能連関という視点から実験的に明らかにする。特に、「現在の環境の知覚・認知」、「文脈依存的な記憶の形成と取り出し」、「未来の行動予定の計画立てと遂行」という3つの中核的な認知プロセスに焦点をあて、脳波・ fMRI・PET・TMSなど複数の生理実験手法を併用して、その脳内メカニズムを探る。最終的に、これら複数認知プロセス間の相互連携の背景に存在する神経ネットワーク間の動的コミュニケーションメカニズムの解明を目指す。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 奥田次郎 京都産業大学 非侵襲脳計測、認知神経科学 総括、課題構築と脳活動計測, 解析
研究分担者 藤井俊勝 東北福祉大学 神経心理学、認知心理学、非侵襲脳計測 記憶心理実験および脳活動計測実験・解析

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G4班

研究課題名
脳内回路の引き込み協調による言語・非言語コミュニケーションの創発原理の解明
研究の目的
言語理解や他者の動作理解において,他者の運動指令を予測しつつ模倣学習を進めるというダイナミックな情報の処理過程が重要であることが乾(1998)により予見されており(運動系列予測学習仮説),その妥当性について実験的に明らかになってきている(Ogawa & Inui, J Cogn Neurosci. 2007)。音声を理解する際においても、構音にかかわる器官の活動が重要であることが指摘されており、このことは、ミラーニューロンシステムを介した他者の運動系列予測を実施することがコミュニケーションの創発原理であることを示唆している。ヒトのミラーニューロンシステムは、腹側前頭前野や頭頂葉の広範な範囲における神経活動が関連していることが報告されている(Rizzolatti & Craighero, Annu Rev Neurosci. 2004)ものの、その動的形成のメカニズムについては未解明の問題である。研究代表者らの従来研究により、皮質間の機能的結合は神経の集団電位として観察される脳波の位相同期現象により動的に形成されていることが示されており(Mizuhara & Yamaguchi, NeuroImage 2007)、ミラーニューロンシステムに関連する皮質間の相互作用についても同様の神経振動子ダイナミクスの引き込み協調により実現されている可能性が示唆される。そこで、他者の予測的模倣を実現する新たな脳機能ネットワークが、ミラーニューロンシステムを起点とした皮質間の振動子位相の引き込み協調により動的に創発することで言語・非言語コミュニケーションが実現されているものと考え、研究代表者が世界に先駆けて開発した脳波とfMRI の同時計測技術を用いることで、予測的模倣に関する脳内ネットワークの動的な形成過程を明らかにする。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 水原啓暁 京都大学 認知神経科学 総括及びfMRI-脳波計測
研究分担者 乾 敏郎 京都大学 認知科学、認知神経科学 言語・非言語コミュニケーションの神経計算論
笹岡貴史 京都大学 認知科学 認知実験

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