研究課題名 |
能動的触覚の数理モデルの設計と神経活動‐触運動間コミュニケーションの解明 |
研究の目的 |
複数システムからのヘテロな情報を統合し,柔軟な情報創成を可能とさせる総体システムとして能動的触覚がある.そこでは,接触する事により生じる皮膚感覚に手指の位置,動き,運動方向の感覚が加わり,その総体として認知が成立している.また,手指の動か仕方(触運動)により,認知までの正確さや早さが変わるため,触運動の制御も重要な要因である.このような能動的触覚システムが自己組織的に形成されることが脳の柔軟な情報創成を可能としていると考えられるが,そのようなシステムの設計原理は解明されていない.本研究課題は触運動,刺激受容体,運動制御回路からなるヘテロなシステムの情報を統合して実際に触対象を検知する数理モでルを設計し,情報統合するためのコミュニケーション様式の数理的解明を目指す.以下の研究課題を遂行する.
- 能動的な触覚システムの数理モデル化[トップダウン設計]
- システム間コミュニケーションの形成機構の解明
- 脳科学.神経心理実験からのデータ統合による定量モデルへの改良[ボトムアップ設計]
- モデル構造を自己組織的に生成するメタ・ルールの解明
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氏名 |
機関 |
専門分野 |
役割分担 |
研究代表者 |
柳田達雄 |
大阪電気通信大学 |
非線形数理科学 |
能動的触覚のモデリングと数値解析 |
研究課題名 |
発現遺伝子と細胞動態の相関情報から探る細胞集団の同期的活動生起と崩壊の統合的理解 |
研究の目的 |
認知科学では神経回路網の詳細を簡略化した巨視的なモデルが主に利用される.しかし,その中間に位置するメゾスコピックなモデルに対して,上下の階層を神経細胞の特徴と回路網の構造を加味して連結しようとする試みは未だ少ない.従来からメゾスコピックな振動現象を扱う標準モデルとして,周期振動の位相縮約表現である位相方程式の結合子系が用いられてきた.特に,海馬などの特定の脳領域では,振動結合子系に神経細胞とその結合関係を加味した回路網であるマクロモデルが適用されている.しかし,その他の脳部位は位相方程式に細胞の詳細な特徴を加味して,マクロなモデルとして組み上げた研究は少ない.そこで,本研究課題では,このようなモデルの基礎となる位相方程式の位相反応曲線とよばれる特徴を脳の各部位で実験的に詳細に調べることを目的とする. |
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氏名 |
機関 |
専門分野 |
役割分担 |
研究代表者 |
舘野 高 |
大阪大学 |
神経生理学 |
研究統括,実験,モデリング |
研究課題名 |
多様なダイナミクスを学び,理解し,生み出すための学習理論 |
研究の目的 |
本研究は,(1) 多数のダイナミクスを学習し,(2) ダイナミクス間の類似性・相違性を元にダイナミクス集合のクラスタリング,量子化,補間化を行い,(3) さらにダイナミクス間の類似性から高次表現を獲得する学習理論の確立とアルゴリズム開発を目的とする.近年,ダイナミクスを介した環境-ロボット,ヒト-ロボット間のインタラクションや行動生成の研究が行われている.しかし古典的ニューラルネットによるマルチダイナミクス学習は,実は原理的に見てうまく動作しない.なぜならば,異なるダイナミクス間で記憶の混乱や干渉が容易に起きてしまい,学習プロセス自体が安定しないからである.無理に学習させると膨大なデータと計算時間が必要になり,また汎化性も低い.
本申請者は,モジュラーネット型自己組織化マップ (mnSOM) やメタ多様体モデル(=ファイバー束モデル)を自己組織化するSOM2 (SOM of SOMs) などの研究に取り組んできた.これらの研究を通して「マルチシステムの学習はモデル空間を適切に定義し(すなわち基底系と測度を適切に決め),その上でメタ空間の学習アルゴリズムを導入しない限りうまく学習が行われない」ことがわかってきた.これは情報幾何での知見とも一致する.これらを元に,マルチダイナミクス学習の理論とアルゴリズムの確立をめざす. |
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氏名 |
機関 |
専門分野 |
役割分担 |
研究代表者 |
古川徹生 |
九州工業大学 |
ニューロコンピューティング |
研究推進と総括 |
連携研究者 |
徳永憲洋 |
九州工業大学 |
ニューロコンピューティング |
アルゴリズム実装と評価 |