HOME

研究組織

公募(平成24-25年度)A01班

研究組織

公募(平成24-25年度) A01数理システム論(数理システム班)

P1班

研究課題名
Hodge分解によるヘテロ・大域的な脳活動の遍歴検出
研究の目的
現代微分幾何学の重要な成果であるHodge分解の理論を応用して、動的に流れ続ける脳の情報の遍歴を特徴づける。2011年に発表された「離散 グラフ版」Hodge分解と、申請者が2011年に開発したネットワーク推定法とを合わせることで、脳活動計測データから神経回路の大域構造を特 徴づけることを目指す。Hodge分解は、有向グラフの行列表示さえ得られれば線形代数により計算できて、ネットワーク上の流れを3つの要素(ポ テンシャル流、再帰的流れ、局所渦)に分類して、解釈をつけることを可能とする。特に、従来、複雑ネットワーク研究でサマリーとして用いられてき た一様性を仮定した局所的な情報(例えば「1つの頂点から伸びる枝 の数の次数分布」) とは一線を画し、ヘテロで大域的な情報を得られることが特徴である。これを用いて、全ての神経細胞をなるべく層状に分類したり、再帰的な流れがあるかどうかの検出を目指す。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 三浦佳二 東北大学 数学連携 総括

[ TOP ]

P2班

研究課題名
インターネットの構造をもとにした脳のモデルの提案とコミュニケーションの実験
研究の目的
本研究では、デフォルトモード(安静時の大脳皮質の基盤となる活性パターン)とエピソード記憶(経験したイベントの時間順序にしまわれた個別の記憶)という脳の2つの特徴を中心テーマとする。これを最近のインターネットを支えるグーグルの5つのアルゴリズムと方法をベースに考察/モデル化する。インターネットは、昨今ソーシャルネットワークとして多く用いられるようになり、インターネットの記憶は大量のエピソード記憶であふれている。これらの事実に注目して本研究はすすめていく。脳科学の最近の研究では、エピソード記憶の想起にデフォルトモードが関与しているという報告があるが、本課題でのモデル化により、コミュニケーションするために必要な脳のモードや記憶構造が分かると期待される。さらに、その新しい脳のモデルからの予測を「感覚交差の実験」を用いて検証し、デフォルトモードとエピソード記憶が、コミュニケーションにおける機能を明白にする。ソーシャルなものとは、結局相手が本当に人がいるかどうかではなく、社会というイメージが立ち上がることである。それをこの実験で明らかにする。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 池上高志 東京大学 複雑系 研究総括
連携研究者 岡 瑞起 東京大学 ウェブサイエンス シミュレーション・解析を担当
連携研究者 Tom Froese 東京大学 認知科学 感覚交差の実験を担当
連携研究者 松田英子 東京大学 複雑系の科学 プログラミングと解析

[ TOP ]

P3班

研究課題名
意思決定ダイナミクスの階層性と不安定性を理解するための基礎理論の構築
研究の目的
コミュニケーションによる意思決定の背後には階層的な構造がある。つまり、各々の意思決定は神経細胞ネットワークなどの大自由度ヘテロ系が作り出すが、ネットワークには実効的なモジュール構造があると考えられ、複数の部分集団の結合系と見なせるだろう。また、このような系がさらに会話などの相互作用を通して各々の意思決定に影響を与える。意思決定のような複雑なダイナミクスには、カオスに代表されるような不安定性が決定的な役割を果たしていると考えられる。そこで、本研究では、不安定性を内包する系の縮約理論と結合系の解析に取り組み、大自由度ヘテロ系の複雑なダイナミクスを理解するための基盤理論を構築することを目的とする。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 郡 宏 お茶の水女子大学 非線形動力学 研究の総括と推進
連携研究者 Ralf Toenjes Potsdam University 非線形動力学 カオスの線形応答の解析
連携研究者 小林康明 北海道大学 非線形動力学 同期のノイズに対する脆弱性の解析

[ TOP ]

P4班

研究課題名
異なる集団間のコミュニケーションが生み出す内部ダイナミクスの変化
研究の目的
神経系とは内部にシナプス結合という可塑性を持つネットワークシステムである。他者との間に相互コミュニケーションが生じる時、内部のネットワーク結合はどのように変化・適応していくのか。本課題では動的ネットワーク結合力学モデルを用いて、この一種の「やわらかい結合ネットワーク」の数理モデルを構築する。これにより他者との相互コミュニケーションの効果を、ネットワーク構造のダイナミクスという切り口で評価する。特に、(1)ヘテロなリズム振動集団間を繋げるコミュニケーション、(2)ヘテロな移動体集団の出会いがもたらす内部ダイナミクスの変化、という2つの事例に焦点を当ててモデル研究を行う。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 青木高明 香川大学 非線形物理学・理論神経科学 統括・数理モデルの構築

[ TOP ]

P5班

研究課題名
ヘテロな振動数の振動子群を用いた脳の高機能情報処理能力の解明
研究の目的
人間の脳が持つ高度な情報処理能力は我々にとって最も身近であるが、複雑で重要な問題である。脳内ではθ波やα波と呼ばれるヘテロな振動数の脳波が測定されており、これらがお互いに影響し合って情報処理を行っている。一方でアメーバやゾウリムシといった単細胞生物も内部にヘテロな周期の振動現象を持ち、それらの共振現象を利用する事によって原始的な知性というものが存在することが近年わかってきた。私はこれまでに数理モデルを用いてこのようなヘテロなリズムから創発される知性に対して研究を行ってきた。本研究課題はボトムアップ(原始的知性からの知性)とトップダウン(実際にタスクを行わせた時の脳の活動状況の測定結果の数理モデル化・解析)の2つの方面から人間の脳についての解明を行うものである。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 手老篤史 九州大学 数理生物・数理モデリング 数理モデル構築・解析
連携研究者 秋山正和 北海道大学 数理生物 数値シミュレーション・データ解析

[ TOP ]

P6班

研究課題名
多様なダイナミクスを学び,理解し,生み出す学習理論の新展開
研究の目的
本研究は、観測されたさまざまな時系列から、(1) それらを生み出した動的システム集合を学習・モデル化し(学び)、(2) その動的システム集合全体を支配する普遍原理や共通法則を発見し(理解し)、(3) その普遍原理・共通法則に従う新規の動的システムや時系列を生成する(生み出す)ための学習原理、すなわち「マルチダイナミカルシステムの学習理論」の発展と深化が目的である。具体的には本申請期間においては特に (a) 他者とのインタラクションを通じた自己認識の自己組織化 (b) 非線形振動子展開法の融合および脳内状態推定への応用 (c) 本学習理論のモデルニューロン実装と脳科学へのフィードバック (d) マルチダイナミカルシステムの学習理論の深化の4点に焦点を当てて取り組む。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 古川徹生 九州工業大学 ニューロコンピューティング 研究統括・理論および数値実験

[ TOP ]

P7班

研究課題名
先行同期の獲得がもたらす未来の認識:生命の持つ主体性への力学系アプローチ
研究の目的
生命が持つ「予測・先読み」の能力を実現させる機構として、遅れのあるカオス結合系で現れる先行同期(Anticipating Synchronization: AS)を考え、再帰型神経回路網による環境ダイナミクスの学習と適応制御を通じてASが獲得される過程について研究を行う。特に、予測器(認識のダイナミクス)と予測対象(環境・身体のダイナミクス)との間に循環した結合があり、お互いに干渉し合うことによって生じるダイナミクスに注目する。AS がもたらす未来方向への「幅のある時間」の生成、そして、予測器と予測対象の干渉によって引き起こされる同期-非同期の遷移ダイナミクスが、生命の特徴である主体性や能動性にどのように関わるかについて探求する。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 末谷大道 鹿児島大学 複雑系数理モデリング 研究の総括(理論提案・数値シミュレーション・解析)
連携研究者 赤穂昭太郎 産業技術総合研究所 統計的学習理論 統計的モデリングに関する助言・共同開発
連携研究者 Ulrich Parlitz マックス・プランク研究所 非線形物理学 カオス結合系のダイナミクスに関する助言・解析

[ TOP ]

P8班

研究課題名
神経投射構造の導入による脳波の長距離同期メカニズムの解明
研究の目的
認知機能と関連して現れる脳波の長距離同期現象は、脳領野間の情報伝達メカニズムの理解にとって重要な現象であるが、選択的な情報を担う個々のニューロン活動と脳波現象との関連は必ずしも明らかでない。そこで本研究では、ニューロンの領野間投射に一定の空間構造を導入し、各領野におけるニューロン群の反応選択性を設計することで、ニューロン活動と脳波の関連を明らかにすることを目指す。複数領野からなる全脳モデルを構成し、各領野間における情報伝達性と脳波の長距離同期との関連を数値計算により評価する。これより脳領野構成の機能原理を提案する新しい計算論アプローチをて提案する。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 佐藤直行 公立はこだて未来大学 計算論的神経科学 数理モデルの構築と解析

[ TOP ]