HOME

研究組織

公募(平成24-25年度)B01班

研究組織

公募(平成24-25年度) B01ヘテロ脳内システム間相互作用(脳システム班)

P1班

研究課題名
主課題と割込み課題からなる二重課題の遂行に関与する内側・外側高次運動野の機能連関
研究の目的
霊長類の高次運動野は機能を異にする複数の領野から成り立つ。複数の領野が協調して働くことにより、動物個体は目的志向の行動を遂行できると考えられる。しかし、その協調原理の多くは現在まで明らかになっていな い。本計画では、外側・内側の高次運動野のコミュニケーションに主眼を置き、複数課題の並列処理に関わる新しい脳の協調原理を解明することを目標とする。
具体的には、記憶誘導性の順序動作課題を主課題とし、これに視覚誘導性の課題(割込み課題)が割込む形の二重課題を考え、この課題を遂行中のニホンザルの神経活動を電気生理学的手法で計測する。
期間内の目的として、(1)主課題遂行時と割込み課題遂行時での内・外側高次運動野のコミュニケーションのダイナミズムを検証し、(2)割込み課題中における主課題の神経表現を探索する。計画全体としてコミュニケーション神経情報学という新領域を開拓するのに貢献する。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 嶋 啓節 東北大学 神経生理学 研究全体の統括
連携研究者 中島 敏 東北大学 神経生理学 電気生理学的実験・スパイクデー
連携研究者 保坂亮介 福岡大学 応用数学 LFPの数理的解析
連携研究者 虫明 元 東北大学 神経生理学 研究の展開につき助言・評価

[ TOP ]

P2班

研究課題名
興奮性細胞・抑制性細胞神経回路の前頭葉領野間分業と動物-環境間の関係創発
研究の目的
時々刻々変化環境に適応するには、脳の情報処理も複雑で動的でなければならない。代表者・坂本はこれまで、複雑な行動を計画・実行するサル大脳皮 質前頭前野の神経細胞活動の解析に取り組んできた結果、ある細胞群では発火頻度コードされた情報が行動の最終目標から具体的行動目標へと動的に遷 移すること、興奮性細胞はそれらを持続的に表現する一方、抑制性細胞では遷移前に最終目標表現の程度が低下すること、遷移の前に発火の臨界揺らぎ が見られることを示した。これらを発展させ、本研究では、複雑な行動を計画・実行する課題遂行中のサル前頭葉神経活動を記録・解析する。更に、局 所アトラクタ・プロットを試みることにより、興奮性細胞と抑制性細胞からなる局所神経回路のダイナミクスの解析、及び、その前頭葉領野間比較を行 う。これらを通じ、環境との関係を創発する場面におけるヘテロ・ブレイン・ダイナミクスを捉えることを目指す。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 坂本一寛 東北大学 神経生理学・生体システム論 研究全般
連携研究者 虫明 元 東北大学 神経生理学 研究の展開につき助言・評価

[ TOP ]

P3班

研究課題名
神経回路網のカオスを用いたヘテロ脳間及び脳内へテロコミュニケーションの原型モデル
研究の目的
発見論的なモデルによるアプローチや複雑系数理学からのアプローチの立場に基づいて、神経回路網モデルにおけるカオスの機能的な側面とその分析や、機能実現の一例としての不良設定問題の求解などの研究を行っている。本申請では、(1)新たに準階層構造を持つリカレント型神経回路網を導入し、カオスを含む複雑なダイナミックスを通信媒体として用いた複数離点間同時多チャンネル通信、同時マルチタスク機能などの計算機実験とそれに基づく脳内ヘテロコミュニケーション機能の展開研究、(2)2体の自律ロボットに発生させた互いに独立なカオスを介して両者が機能的相互作用を行う計算機実験と実際のハードウェア搭載実験、およびそれに基づくへテロ脳間コミュニケーション機能へのアプローチ、などを行う予定。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 奈良重俊 岡山大学 物理情報学・物性理工学・デバイス物理学 研究総括・研究立案・計算機実験・ロボット実験

[ TOP ]

P4班

研究課題名
ラット海馬における「自己」と「他者」の空間表現のメカニズム
研究の目的
ラット海馬における場所ニューロンは、ラット自身(自己)の実験環境内における空間認知(位置の認識)に用いられていると考えられており、認知地図仮説の神経科学的根拠となっている。しかしその認知地図が実世界の事象を完全に表現するためには、これらの場所ニューロンが同じ環境内を移動する「他者」の行動を観察した際にも同様の活動特性を示してしかるべきである。本研究は、他者の行動に対するラット海馬の場所ニューロンの活動特性を明らかにし、海馬領域の空間認知に関するミラーシステムとしての可能性を検討することを目的とする。
This project aims to investigate the spatial coding of self versus others in rat hippocampal circuits. Previous research has typically focused on the spatial mapping of the individual (“SELF”) relative to the world. However, if the cognitive map is truly a representation of the world, the neural mechanisms should work equally well in tracking the movements of others. We compare conditions in which the rat itself is moving in complex environments with conditions in which the rat observes another moving in the same environments. Essentially, we examine the equivalent of the mirror system for spatial mapping in rats, through multi-unit recording and recording of local field potentials, particularly in areas CA1 and CA3 of the hippocampus.
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 ローレンス・ヨハン 九州大学 認知神経科学・行動解析 実験の総括・データ解析
連携研究者 高橋宗良 九州大学 行動神経科学 実験システムの開発・データ計測・解析

[ TOP ]

P5班

研究課題名
神経リズム中に誘導されるダイナミカルセルアセンブリの実験的検証
研究の目的
記憶が無いと相手の事も忘れてしまうのでヘテロ脳間コミュニケーションにとって記憶過程は重要な機能である。本研究はコミュニケーション神経情報学にとって必要なダイナミカルな記憶情報処理過程の解明を目的とする。以前に提案されたダイナミカルセルアセンブリ(DCA)は、記憶学習の脳内表象として時間構造を持つ。しかし、まだ実験的に証明されていない。脳内海馬では、記憶学習に関わっているθ波、β波などの脳波が観察されており、アセチルコリン作動薬を海馬スライスに投与するとβ波が誘導される。β波中には少数の神経細胞が同期発火し、その発火が伝搬しており、この事は、β波中、複数のDCA が生成している可能性を示唆している。また自発的に生成するDCAが外界刺激と連合して記憶表象となる可能性がある。本研究では、DCAを測定し、その性質を明らかにし、記憶表象との関係を明らかにする予定である。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 夏目季代久 九州工業大学 脳情報工学・脳神経科学 研究総括・研究立案・電気生理実験・データ解析

[ TOP ]

P6班

研究課題名
運動指令のトップダウン形成とボトムアップ形成を担う皮質回路機構
研究の目的
本研究では、外界刺激により誘発される外発性の運動指令の形成(ボトムアップ型)と自らのタイミングによる内発性の運動指令の形成(トップダウン型)のために、大脳皮質内の神経回路上のどの細胞からどの細胞へどのような機能的情報が流れるのかを、「外発性/内発性」運動課題を遂行するラットの運動野を対象に、傍細胞記録法による「ナノ刺激」とマルチニューロン記録法を組み合わせて追跡することを目指す。本研究は、基本的に生理学的実験を基盤として実施するが、ここで得られた実験結果は実験データベースとして規格統一して整備し、領域内の理論系研究者の協力も得て高度な理論的解析を活かした共同研究が進むことも期待する。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 礒村宜和 玉川大学 神経生理学 本研究計画全体の遂行(実験動物の訓練、手術、記録、およびデータ解析など)主にラットの大脳皮質や海馬を対象としたインビボ実験を担当する。
連携研究者 福島康弘 川崎医療福祉大学 神経生理学 ラットの海馬を対象としたインビトロ実験を担当する。

[ TOP ]

P7班

研究課題名
実環境におけるリスクと情報探索の神経機構
研究の目的
我々ヒトを含む動物のリスク回避と戦略的探索行動は、経験や状況に応じてどのように適応的に切り替えられているのだろうか?本提案では主に2つの方法で未知環境における意思決定と適応の原理を神経生理学的、行動学的、構成論的にアプローチする。1つは霊長類をつかった視覚刺激からの意思決定課題を用いて、複数の刺激属性の中から情報の探索を行わせる場面の意思決定のメカニズムを神経生理学的に明らかにする。2つめは、ヒトの行動を説明する計算モデルを構成し霊長類と相同な課題において非侵襲脳活動計測を行う事により、ヒトとヒト以外の霊長類の神経機構の共通性や相違を明らかにする。さらに実験室内での意思決定よりも現実に近い商品選択などの意思決定を調べることにより、ヒトや動物の脳活動・計算論的モデルによってマーケティング理論の神経科学的基礎を検討する。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 鮫島和行 玉川大学 計算論的神経科学・神経生理学 研究全体の統括・立案・実行
連携研究者 植田一博 東京大学 認知科学・認知心理学 ヒトの商品選択行動、マーケティング研究に関する助言・評価

[ TOP ]

P8班

研究課題名
大脳皮質FSバスケット細胞から錐体細胞への抑制シナプス支配の機能的解析
研究の目的
大脳新皮質には、基本的な単位である局所神経回路が多数存在し、それらの活動が基となって、高次脳機能が具現する事がこれまでの研究で明らかである。その回路がどのような配線構造をとるのか、どのような動作原理で機能するのか、未だ理解されるには至っていない。本研究では、その構成要素の中の抑制性シナプスの機能に関する解析を行う。具体的には、錐体細胞に対するFSバスケット細胞の抑制性シナプスの位置やそのPSDの面積と、ターゲットの錐体細胞に起きるipsc電流の大きさとの相関を注意深く詳細に解析する。そして、その解析結果を基に、シミュレーション解析を加える事で、実際に皮質の抑制性シナプス機能にどのようなメカニズムが隠されているのかを解析したい。これまで、抑制性シナプスの機能に関しては、その詳細はまだよく知られていない。本研究は、抑制性シナプスの機能的な理解を飛躍的に進めるデータを提供できる物と考えている。
  氏名 機関 専門分野 役割分担
研究代表者 窪田芳之 生理学研究所 神経科学・神経解剖学 組織作成・電子顕微鏡観察・データ解析及び研究の総括

[ TOP ]